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【千葉スペシャル】染谷将太、菊池凛子も並ぶ靴磨きの超絶テク

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ファッショニスタが殺到!
科学の力で光らせる

「お客さん、靴磨きは科学なんですよ。科学の技術がないといいクリームは作れない。大切なのはね、粒子を寝かせること。作ったばかりのクリームは、粒子が動き回ってるから、革になじんでいかない。革を柔らかくすることができないんですよ」
いま有楽町で一番行列を作らせる男は、節くれ立った手を動かしながらそう言って笑う。靴磨き職人、「千葉スペシャル」の千葉尊(59)だ。

平日午前中の時間帯が狙い目だが、この程度の行列は覚悟して行くべし。平均、一日200人が千葉の腕を求めて並ぶ

サラリーマンが、ファッションモデルが、現役の大臣とその秘書が、若いOLがグループで、有名俳優夫妻が、有楽町の交通会館前に千葉の腕を求めて行列を作る。11月中旬の平日に訪れると、午前中なのにすでに20人弱が列をなしていた。
道行く人が何事かと振り返るほどの、その人気ぶり。秘密はどこにあるのか。千葉氏とともに二人三脚で歩んできた皆川隆氏が語るのは、波瀾万丈の物語だ。

千葉は元々は鉄鋼関係の仕事をしていて、溶剤に詳しかったんです。西のほうで仕事をしていた20年前、阪神大震災に遭って上野に流れ着いた。不忍池で今後の身の振り方を考えているとき、偶然隣のベンチに座っていた人が、靴磨き職人で、一言二言会話をするうち、意気投合して弟子入りすることになったんです。でも、三日一緒にやったら、『おまえといると、俺の客がいなくなる』と破門を食らったそうです(笑)。手先が異常に器用だから、最初から才能があったんでしょうね。18年ほど前からこの界隈で靴を磨きはじめ、3年前に縁あって交通会館前で磨き始めるまでは、何年か有楽町線の銀座口でやっていたんです。同業のライバルから嫌がらせで110番通報を食らったり、本当に紆余曲折あったなあ。警察から『ここで商いをしちゃいかん!』と言われて、行政の担当者をあの手この手で説得するのが、私の仕事でした。この界隈は戦後、外国人の靴を磨く職人たちでいっぱいだたんですが、時代を重ねるごとに風当たりが強くなってね」

そう言ってタバコをくゆらせる皆川さんは、苦労の連続を思い出したのか照れ笑いの表情だ。有楽町のガード下は、千代田区が持つ「区道」。昔は靴磨き職人は街の風景に溶け込んでいたが、行政の縛りがキツくなり、今日までその風潮は強まる一方だ。

千葉氏の縁戚にあたる、総務担当の皆川氏。皆川氏着用の服や、千葉スペシャルの制服は、すべてユナイテッドアローズがプロデュースしている

「周りのお店は『昔ながらの人情があっていいよね』と言ってくれても、お上は厳しくてね。でもそんな警察のお偉いさんも、千葉の腕に惚れ込んでこっそり磨きに来たりしていた(笑)。そんな日々の中から、千葉は特製の靴磨きクリ-ム、『千葉スペシャル』を考案。腕の立つ職人でも40分はかかる『鏡面磨き』を、10分でできるようにしたんです。お代はどんな靴でも1000円一律。これがお客さんに支持されている理由だと思います」

現在、交通会館前では、千葉をはじめ店長の大村氏など、4人の職人が靴を磨いている。抜群のロケーションだが、この場所に店を構えることができたのは、「千葉ファン」とも言うべき、お客さんのバックアップのおかげだった。

⇒靴磨きの「奥義」とは



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