驚異的な技術革新をもたらした
ヴァシュロン・コンスタンタンの偉業とは！？
腕時計のルーツとなる懐中時計。ここで時計師たちが培ってきた数学的な知識や数々の技術で今日の腕時計の歴史や文化が成り立っていることは紛れもない事実です。これまでブレゲのNo.160「マリー・アントワネット」やパテック フィッリップの「グレーブス・ウォッチ」など、歴史を彩る数々の傑作が生まれてきましたが、先日世界三大時計メーカーとしても名高いヴァシュロン・コンスタンタンが偉業を成し遂げました。
2015年現在、史上最も複雑な機械式時計となる「Ref.57260」は3名の時計師によるチームが8年もの歳月をかけて製作した２つの文字盤を持つ独創的な懐中時計です。
ムーブメントの包むケースは18金のホワイトゴールドが美しい曲線を描き出しています。リューズは3つ備わっていますが、なかでも特筆すべきは4時の位置にある埋め込み式のアラーム巻き上げのリュウズです。この工夫のおかげでケースの美観が損なわれることはありません。両面の文字盤はシルバー、表示に用いるディスクは軽量なアルミニウム製です。
第一文字盤にまったく新しい刺激的な表示機能が並びます。その筆頭がユダヤ暦永久カレンダーです。ユダヤ暦はグレゴリオ暦とは異なり、19年を一周期とするメトン周期であることから、これまで完全な永久カレンダーとして腕時計に組み込みことは不可能とされてきました。それを実現させるために完成させた文字盤の表示や数々の機構は歴史的な快挙に他なりません。
同じく驚愕に値するのが、レトログラード・ラトラパンテ（スプリットセコンド）・クロノグラフです。これは史上初の機構で、同軸の2つの針が連携して作動して、それぞれが文字盤上にある別々のスケール上を移動します。これは分離型のスプリットセコンド・クロノグラフとも呼べるもので、60分積算計と12時間積算計がそれぞれ経過時間を記録、最大で12時間の範囲で計測ができます。
さらにもうひとつ、この第一文字盤を理解する上で欠かせないのが、チャイムの機能です。暗闇でも時刻が分かるように開発されたミニッツリピーターは複雑機機構の花形として知られています。この時計は3つのチャイムの設定とグラン・ソヌリとプチ・ソヌリの２つのモードを選べます。
続いて、第二文字盤に話を移します。文字盤の約半分を占めるブルーの星図はユーザーの移住地から見上げた夜空と星座の位置を記すそうで、これをはじめとする表示をまとめ上げているのが、レトログラード・デイト日付表示付き永久カレンダーです。これによりいくつもの天文表示が可能となりました。トゥールビヨンの窓口の上方のある均時差表示と、トゥールビヨンの左右に日の出と日の入りと昼夜の長さを表示する2つの扇形のインジケーターにも注目です。
第二文字盤並びにこの時計の機能を関連付ける極めて重要な機構が、2つの機能を持つ永久カレンダーです。このカレンダーは伝統的なグレゴリオ暦ともうひとつ、ISO8601で知られる52週と7曜を数字で示すビジネスカレンダーかを選ぶことができます。
最後に紹介するのは比類なきエレガントを持つ、アーミラリ天球儀トゥールビヨンです。この3方向に同時回転する球体ヒゲゼンマイのトゥールビヨン機構は精度にも貢献する重要な機構です。脱進機と添付を収納するケージのフレームは超軽量のアルミで精巧に作られ、シンボルであるマルタ十字がデザインされています。15秒回転する度に姿を現します。
ここでは語り尽くせない「Ref.57260」偉業は、ニュースの枠を飛び越えて、時計史に一石を投じました。57にも及ぶ複雑機構を組み上げていく製造の過程で得た研究や革新的な技術は、必ずや機械式時計の進化へ貢献をもたらす遺産となるはずです。至高のマスターピースは記念誌的なアート作品にも負けず劣らずの輝きを放ち続けることでしょう。
Text：FORZA STYLE
Vacheron Constantin Ref.57260/000G-B046
手巻き（Cal.3750）、18KWGケース、ケース径98㎜／価格は非公開
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ヴァシュロン・コンスタンタン
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