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FASHION

カルロ黒部の紳士のスタイル「世界屈指のテーラーの着こなしとは?」

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パリの老舗テーラー当主に見る
紳士の装いとは?

メンズファッション業界で40年近く仕事をして来た私が、本当に素敵な着こなしをされているなと思った紳士を連載形式でご紹介します。『FORZA STYLE』読者の方みなさまの参考にして頂ければ幸いです。

第1回目は、友人であり世界最高峰のビスポークテイラーであるパリのロレンツォ・チフォネリさんです。ローマ出身の創業者が1880年にパリで開業した老舗ビスポークテイラー『チフォネリ(http://www.cifonelli.com/)』の4代目当主です。

彼とはしばらく仕事をしていました。その時に撮りだめたスナップを元に、彼の着こなしにふれ、そして紳士のお洒落について言及させていただきたいと思います。

ところで、チフォネリは世界最高峰のスーツといわれています。その理由は、まず「技術」にあります。卓越した技術の熟練職人達を多数抱えたアトリエの存在です。パンツの脇縫いを外注に出さず手縫いで仕上げるのは世界的にも稀有なのです。採寸して型紙を切る人をカッターというのですがチフォネリでは一子相伝のこの技術はロレンツォさんと従弟の2人しか認められていません。

次に「顧客」。ビスポークテイラーでは基本的に顧客の名前を明かさないのですが、サロンには世界各国の王族、貴族、富豪、映画スターなどが名を連ねます。洗練された顧客がお店の品格や伝統を創り上げて行くのです。

そして最後に「センス」。カッターであるロレンツォさん自身が洗練されたセンスの持ち主であることです。チフォネリの伝統は守りながら適度な時代感を取り入れているからです。



私のスーツの仮縫いのフィッティングをしているロレンツォさん。ベージュのウールギャバジンの3ピーススーツですが、チフォネリショルダーと呼ばれる構築的なロープドショルダーとフィッシュマウス風のゴージは伝統的なチフォネリの特徴です。一方で若干細めにしたラペルとプレーンフロントのパンツに程よい時代感を取り入れています。ホワイトシャツにペールグリーンのタイもコントラストが少ないですが、これぞ上品なパリらしいコーディネートなのです。




パリのサロンで仮縫いのフィッティング中の全身写真ではネイビーのシングルスーツ、ホワイトシャツ、ブルーのタイというミニマルなスタイルに、アクセント となっているのが、タバコ色のスエードシューズです。パリのサロンのあるマルブフ通りの斜め向かい側がベルルッティなので親子代々に渡って靴はここを愛用 しているのです。




3ピースのヴェストはダブルブレスト6ボタンで、ボリューム感のあるショールカラーのラペルが特徴です。これがチフォネリのアイコンであり、パリの洒落者に特に人気の高いデザインです。

最後にトップ画像の着こなしも見所満載です。チフォネリらしいボリュームのあるラペルのダブルブレステッド6ボタンのスーツ姿のロレンツォさん。ミッドナイトブルーのスーツ、同色のドットタイ、ホワイトシャツに白のポケットチーフと全身で2色しか使わずシックにまとめているのが実は最大のポイントです。身体に良くフィットしたスーツほど男性を知的でセクシーに見せてくれるものはありません。「色を抑える事で素材と仕立ての良さを引き立てる」ことをロレンツォさんの着こなしは我々に教えてくれるのです。

Text:Carlo Kurobe


Profile
カルロ黒部(黒部和夫)
カルロ インターナショナル代表 ファッションコンサルタント ファッション評論家
1958年外交官子弟として駐インドネシア日本大使館で誕生。1983年オンワード樫山入社後、メンズ企画部門を歩む。2014年同社退職後、カルロ インターナショナル設立。国内外のファッション企業のコンサルティングおよびPR業をはじめ、ファッション評論や公演で活躍中。

 



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