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LIFESTYLE

【連載】拝啓、40男(イケフォー)諸君。
『最近、だれかを口説いてますか?』
Vol.6 「蕎上人」で粋な夏の大人デート<前篇>

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心を感じる手打ちそば

伝説の「一茶庵」の流れをくむ浅草の名店

梅雨明けはまだ先ですが、もうすでに30度を越える日も多く、夏の香りが……。ただ、こう暑いとなかなか食も進まないんですよね。そんなときには、焼肉ではちょっと重い。イタリアンではありきたり。フレンチ、寿司ではちょっとかしこまり過ぎて……。

カジュアルに、だけどオシャレに、夏にピッタリのサラっとした食事デートがしたい——という方は、そばなんていかがでしょう。例えば、お昼過ぎ、もしくは夕方ごろ、二人で浅草に向かいます。浴衣なんかを羽織ってなんていうのもいいかもしれません。そして、キリっとしたお酒でもチビリとしながら、そばで小腹を満たし、浅草界隈を散策。ほんのりと酔った二人の会話は弾み、緊張感も取れ、グッと距離の近づいたデートになるはずです。

というわけで今回は、夏の大人デートにピッタリなそばをご紹介します。うかがったのは浅草の「蕎上人(そばしょうにん)」です。

"そば名人"と言われた片倉康雄氏が開いた伝説の名店「一茶庵(いっさあん)」。蕎上人の創業者・平沼孝之氏はその一茶庵で修業し、自身の店を開店した当初(平成元年)は「浅草一茶庵」という看板をかかげていました。現在は、平沼氏の義理の息子さん、福田純一氏が実質的に店を取り仕切っています。

暑い表通りから一歩、店内に足を踏み入れると、フッと涼しくなります。浅草らしい、和の趣がそうさせるのでしょうか。木のぬくもりや、そばの香りが漂い、とても落ちついた雰囲気です。

心を感じる手打ちそば

まず頂いたのは、そば焼みそ。西京みそ、カツオ節、くるみ、ネギ、揚げたそばの実を練ったものが、しゃもじに盛られ焼かれています。似たメニューは他のそば屋にもありますが、そば焼みそは一茶庵が元祖とされ、この形は一茶庵系の特徴です。

甘くて芳醇なみそに焼きが入りとても香ばしい。そばの実のサクっとした食感もまたとても心地いい。これを肴にお酒でも頂きたいところです。 

次は鴨ロース焼。そばで使われている"返し"が張られた平らな鍋に、鴨ロース、ネギ、シシトウ、シイタケが乗っています。ほどよく火の入った鴨は厚みがあるもののとても柔らかく、噛むと甘い肉汁が溢れ出ます。さらに、鴨の脂、ダシを吸ったネギ! う〜ん、たまりません。

〆はせいろ。ひと口目は何もつけずにそのまま頂きます。勢いよくすすると、そばの香りがフワリと鼻に抜けていきます。また、とても細いそばですが、噛むとプチっとした小気味のいい歯ごたえがします。この香り、歯ごたえはいいそばの証です。

ふた口目はほんの少し汁をつけてすすります。奥深いカツオのダシはそばの香りを消すことなく、そばの甘みを増幅。軽く噛んだら、そばを喉へと流し込む。ツルっとした喉越しも快感です。

本当はこのあたりでネギやワサビといった薬味を加えてもいいのでしょうが、あまりのおいしさに、そばを一心不乱にすすり続け、薬味を汁に入れることを忘れてしまいました。それほどこのそばは人の心を虜にします。そして、なんとも温もりを感じるそばです。

<後篇>
≫≫『そばでわかる男のこだわりと優しさ』≪≪

Text:Hiroshi Goto(Kanzo_Koshi)
Photo:Asami Kikuchi
Arrange:media closet

蕎上人
東京都台東区駒形2-7-3
03-3841-7856
11:30〜14:00(L.O)
17:00〜20:30(L.O)
定休日/月曜日、第2・4日曜日
http://www.soba-shonin.jp/index.html


【バックナンバー】
Vol.1 「リュクスな"イタメシ"×東京・神田」という選択

Vol.2 イタリアンシェフの非常食は口説き上手

Vol.3 築地の秘扉と、海栗BARと。
<前篇>築地の隠れ家はウニの宝庫
<後篇>『商売は流行ればいいというわけじゃない』

Vol.4 料理と酒が奏でる、美しき音階。
<前篇>料理とお酒の、意外なカップリングに「ドキッ!」
<後篇>日本の魅力を発信したい

#番外編 銀座の「卯月」で学ぶ"一見の流儀"

Vol.5 焼鳥「床島」の美に感じる戦慄
<前篇>ひと噛みごとに味わう感動
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