とっておきのパンツとシューズについて
食べる物やレストランにはこだわるのにも関わらず、その場に相応しくない装いをしているのは、大人の男性としてスマートとは言えません。この「東京カレン ダー」との連載では、ホッシーこと、弊誌編集長干場義雅に「こういう場合、何を着て行ったらいいのか?」という東京カレンダー編集部からの質問にお答えします。
ということで前回読んで頂いた方には、男同士飲みというものが、女子会みたいに最後まで爽やかには終わらない! で、この後の展開がもろバレだったようで……(笑)。大変失礼いたしました。ということで前回の続き。干場流のお洒落の㊙テクのお話なんすが、今回は、パンツと靴のお話しであります。
昔から自分の好みはあんまり変わらないのですが……。とにかくグレーパンツが大好物なんですよね〜。もう、18歳の頃から穿いております。最初に買ったのは、僕がビームスでアルバイトをしている頃。ビームスFで買いました。当時はインプリーツのものなんかがあったりして、白や水色のシャツなんかとキレイ目に着ていました。今と変わらないんですよね、基本スタイルは……。ベースがトラッドなのであります。で、ドン君(大槻編集長)は、当然そんな部分も知っているので、今回もグレーパンツで。店内が暗いから、初見では「あ、ホッシー、いつものグレーパンツね」で終わると思うんですが……。ワインが1本空き、2本空き、さらに強めのアルコールが入り目が慣れてくると、「ニョニョニョ? 普通のグレーのパンツじゃないニョ! 右と左のデザインも違うし、どうなってるのかニャ?」となってくる(笑)。この辺も計算済みな訳です。ある意味「ホッシー忍法、目眩ましの術」。
さらにダメ押しで足元を見た瞬間に、今の気分にドンピシャな靴をチョイスしておき「気になって気になってしょうがない」状態に追い込む。オネーチャンの店に行っても、まだ真相は明かさず……、さらにもう1軒行って、今夜の反省会をしているときに「今日、穿いてるパンツと靴どこの?」と聞かれるタイミングを待って、一気に釣り上げる(笑)。まさに、いろいろな部分に撒いておきた「撒き餌」が最後に効果を発揮するのです。これで僕の勝ち!(笑)←何の勝負をしているか!? って感じですが、男同士には、こういう駆け引きが必要なんですね。
ちなみに詳細のお話を。このパンツは、ブルネロ クチネリのヘリコプターパンツ。サマーウールのグレーパンツでありながら、いろいろな部分にポケットがついていて、左右非対称のデザインになっているのがキモ。これにより、コンサバなネイビージャケットを着ていても、ちょっとした違和感が生まれるのです。さらに右から見た時と、左から見た時とが違うので「キャー、これ右と左が違う!」とオネーチャンのウケも絶大! 1本あると使えるので、僕は秋冬用も買いました。ポイントとしては、裾の処理は、ダブルに見えますが、そのままの切りっぱなしにして、それをロールアップしている点。こうすることで、こなれ感が出るのです。ちなみにですが、裾幅は16.5cmにお直ししています。なぜかは? 足元に、ちょっとボリュームある写真の靴を合わせたかったからです。
足元に合わせた靴は、ご存知の方はまだ少ないかもしれませんが、この4月にローンチした、ファッションディレクターの僕とシューズデザイナーの坪内浩さんと立ち上げた新しい靴のブランド「WH(ダブルエイチ)」。この詳細に関しては、『FORZA STYLE』を読んでいただきたいのですが……。簡単に言えば、クラシックで重厚な見た目からは想像出来ないほど軽く、スニーカーのような履き心地ということ。木型(ラスト)は、イマドキの細みのパンツに似合う“やや長ラウンドトゥ”。超軽量で厚めのビブラムソールを採用しているから、クッション性の高い履き心地はもちろん、スタイルがよく見える脚長効果もあるというものなのです。伊勢丹メンズ館やバーニーズ ニューヨークで扱っているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ということで参考になったかどうかは別として、久々の男同士の飲みには、ぜひとも男同士ならではの勝負してみてください。童心に返って、あの頃の話をしつつ、お酒を飲むのも楽しいものですよ!
それでは、今回はこの辺で。
Photo: Ryohei Watanabe
Text: Yoshimasa Hoshiba