ナポリのカフェは別格
中川 イタリア人もナポリのカフェは別格だといいますからね。でもバリスタだけでなく、コーヒーづくりにおいてはローストとブレンドもとても重要なんです。これは職人たちが長い時間をかけて培ってきたもので、“KIMBO”にもその技術がしっかりと受け継がれているからこそ、世界中の人々に“真のナポリコーヒー”として愛されているんですよ。
干場 奥が深いですね。あと、これまでの対談でも、ダークローストや少ない抽出量、たくさんの砂糖を入れることなんかがナポリコーヒーの特徴だとうかがってきましたが、それ以外に何かユニークな点はありますか?
中川 ナポリのバールではエスプレッソを注文すると必ず小さなグラスで水が一緒に出てきます。これは濃いエスプレッソで喉が乾くからではなく、はじめに水を口に含んで口の中をきれいに洗い流してから美味しいエスプレッソを飲んで、コーヒーの香りと味わいをより愉しんでほしいということなんですよ。
干場 わかります。エスプレッソを飲んだあとに水を飲むと、バリスタからそれは違うって注意されますからね(笑)。
中川 それぐらい、みんなプライドをもって仕事をしているんですよ。前にナポリの人たちは1日に何度もコーヒーを飲むといいましたけれど、調べてみたら(ナポリのある)カンパーニャ州だけでイタリア全土の15%近い量を消費しているんです。そもそもイタリア人は日本人の2倍の消費量があるなかで、さらに20州のうちの1州でそれだけの消費量ですから。本当、飲み過ぎですよね(笑)。
中川 そういえば、昔イタリアにホームステイしていたときにディナー後にカプチーノを頼んだら変な顔をされて(笑)。当時は午前中の飲み物だっていうのもわからなくて、マナー違反だってことをやんわりと教わった思い出があります(笑)。
干場 知らないとやりがちですよね。エスプレッソも本来は砂糖をたっぷり溶かして飲むものだってことも知らないとブラックで飲んだりしますから。でも、ナポリの人たちがやる、砂糖を入れてスプーンでぐるぐるかき混ぜる仕草って格好いいですよね(笑)。
中川 だいたい30~50回ってところが一般的なんですけれど、なかには平気で5分ぐらいかき回している人もいますからね(笑)。あと、ナポリ特有ということだと、エスプレッソを出す前にあらかじめカップの中に砂糖を入れる店があります。これは、ナポリ気質というか、お客さまに最大限のサービスを提供したいという、おもてなしの精神から始まったと聞いています。僕は自分で甘さを調整したいので頼みませんが、ナポリ式のコーヒーを味わってほしいという気持ちの表れなんでしょうね。
干場 面白いですね。話は変わりますが、日本では数年前からサードウェーブコーヒーがトレンドだとかいっていますよね。でも、その原点がバール文化にあるような気がします。淹れ方や味は違っても、それぞれの地域に根差した店があって、それぞれのコミュニティを育む場所になっているっていうか。
中川 その通りだと思いますよ。だからこそ、1日に何度もバールに出かけては“ヤァヤァ”とやっている。それも行きつけのバールが何軒もあって、朝はここ、昼はあそこ、夕方にアペリティーボをするのはこことか、用途によって上手に使い分けているんですよね(笑)。
干場 なんだかモーレツにナポリに行きたくなってきた!(笑)。
Photo:Tsukuru Asada(Secession)
Text:FORZA STYLE
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