フォルツァ世代必見の
感動的ロードムービー
仕事や生活に行き詰まりを感じているものの、それなりのポジションにいる人間ほど、問題に気づかないふりをしがちかもしれない。働き盛りの40代、そうフォルツァ世代ともなればなおさらだ。周りからみれば恵まれた現状を捨てて、新しいことに挑戦して失敗するのは誰であろうと正直言って怖いものだから。
まさにその状態に陥っているのが本作の主人公、ロサンゼルスの一流&人気レストランの料理長キャスパーだ。斬新な新メニューでグルメたちの舌を喜ばせたいと訴えるも、観光客が喜ぶ定番メニューにこだわるオーナーに抑えこまれる日々。
ところが、とうとうストレスが爆発してある事件を起こし、店をクビになってしまう。ピンチに陥って開き直ったキャスパーは元妻が育てている微妙な関係の息子を連れて、自身の料理人としてのルーツであるマイアミへ向かう。
そこでフードトラックを手に入れ、看板メニューの絶品キューバンサンドウィッチを売りながら、アメリカ南部を横断する。彼らの旅を彩るのは、土地土地のソウルフードと極上の音楽。
親子がロサンゼルスに戻ったとき、キャスパーは自分が誰のために何を作りたいのかという料理人としての原点に立ち返り、息子にとって誇れる父親へと変化していた。
キャスパーを演じているのは、ロバート・ダウニーJr.主演の『アイアンマン』シリーズの監督として大成功を収めたジョン・ファブロー。彼がインディペンデントの映画人時代に立ち返り、脚本を書き、監督をし、出資もし、本当に作りたい映画を作った本作を観れば、キャスパーがファブローの分身であることは一目瞭然。
ピンチやマンネリに陥ったときこそ原点回帰が突破口だと、この映画は教えてくれる。40代からでも遅くはない。夢を叶えたいなら、この映画を観るべきだ。そう、愛する人と……。
Text:Takako Sunaga
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
2月28日(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
製作・監督・脚本・主演:ジョン・ファブロー
出演:ダスティン・ホフマン,ロバート・ダウニーJr.,スカーレット・ヨハンソン,ソフィア・ベルガラ,ジョン・レグイザモ、ほか
2014年アメリカ映画/115分/原題:CHEF
公式HP:chef-movie.jp
@chef_movie_jp
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント